「っ……だ、だいじょーぶっ。それより……ど、して電話、出てくれなかったの?」
自然な言い方で尋ねようとしたのに、嫌な不安に掻き立てられて途切れ途切れになってしまう。
「………どうして、ここがわかったの?」
質問で返されて少し戸惑いを覚えながらも、私はゆっくりと答えた。
「学校に…行ったの。前に電話で、毎週土曜は学校で部活をしてるって言ってたでしょ?
だからもしかしたら学校にいるのかな、って思って。そしたら……」
「ガクに、聞いたんだね」
「……うん」
「そっか………聞いたんだ……」
「っ、」
見たことのない、複雑な笑顔だった。
静かで穏やかなその笑みは、私の心を酷く締め付けた。
「…情けないよね。このくらい平気だって思ってたかをくくってた結果がこんなザマなんて」
「そんなこと…っ」
「結局、俺はどこかで自分に甘えてたんだ。自分のことを過信してた。……風結には、知られたくなかったな……」
「え?ど、どうして…?」
私、何かしちゃった……?
言葉の理由がわからなくて聞き返せば、彼は不似合いな笑顔をこっちに向けた。



