初恋のクローバー



もし、呆れられてしまったら。


もし、嫌われてしまったら。


そんな最悪なことばかりを考えて、永遠にループする自問自答の繰り返し。


臆病な自分の気持ちに勝てなくて、結局俺は彼女との繋がりをみずから絶った。


「…………会いたい……っ、」


ポツリとこぼれ出た想いは、自分でも驚くほどに素直すぎた。


「はは……ほんと、自分勝手……」


自分から、連絡をやめた。


自分から、気持ちを離した。


自分から、逃げた。


すべて、「自分から」。


それなのに、気づけば「会いたい」と願う自分がいる。


「会って、どうするんだよ……」


今さら、どんな顔で彼女に会うんだ。


彼女に会って、何を話すんだ。


彼女に、何を伝えるんだ。


何1つわからないくせに、ただただ会いたいと願ってしまう。


そしてそんな抑えのきかない自分の気持ちを、憎らしく思ってしまう。


「今さら、会えない……」


゙コンコン゙


自嘲気味にポソッと出した声に応えるようにその時、病室のドアが静かに誰かの来訪を伝えた。