「ハァ……ハァ……っ」
早く会いたい。
会って、和哉くんの気持ちを聞かせてほしい。
「っ……あった!」
受付で聞いた病室の前に立ち止まれば、ドア横につけられた表札に彼の名前が書かれている。
「和哉くん……」
彼の名前にそっと手を重ねてから、私は深く深呼吸をした。
私に電話をくれなかったのは、もしかしたら本当に嫌われたからなのかもしれない。
それか、優しい和哉くんのことだから、私に心配をかけさせまいと何も言えなかったのかもしれない。
でも、今はそんなことを気にしていられない。
「……よし」
落ち着いた肩にぐっと力を入れて、私はドアを数回叩いた。



