「ハア……っ、ハァっ……」
ガクくんに教えてもらった病院の中を、一目散にかけていく。
「病院では走らないでください!」
横切る看護師さんに注意されても、その言葉は今の私にはまるで入ってこない。
「和哉くん……っ」
彼の名前を声に出しながら、私はガクくんとの会話を思い出していた。
『走れない、って……どうして?』
『……先月の新人戦が終わってすぐに、症状は出てた。足の裏が時々痛くなる、って呟いてたんだ』
『痛く……?』
そういえば和哉くんと会う約束をしたあの日、様子がおかしかったかも……。
『最初は、たいしたことないって言ってた。
でも次第に酷くなってたみたいで……2週間後には部活に出れなくなってた』
『2週間後……』
ちょうど和哉くんに電話が繋がらなくなったころ……。
『病院に行った方がいい……そう話した数日後には、和哉は歩けなくなってた』
『え……?』
『痛みがずっと続くようになって、立つだけで激痛が襲う。そう言ってた』
『そんな……』
『すぐに病院に行ったら、足底筋膜炎だってわかったらしい』
『そくてい、きんまくえん……?』
聞き覚えのないその病名に疑問符を浮かべれば、ガクくんは苦虫を噛み潰したかのように眉間にシワを寄せた。



