「イチニッサーン、ニーニッサン…」
「もっと速くボール取りに来い!」
「つぎ、行くぞー!」
色々な部活の声が飛び交うグラウンド。
「あははっ、部活の風景はどこの学校も似てるんだなぁ」
いつも上から眺めている景色が、今は目の前に広がっている。
「いいなぁ…って、早く和哉くんを探さないと」
陸上部、陸上部……。
フェンス越しにキョロキョロと辺りを見渡すと、少し離れた所に陸上部らしき人たちの姿が映った。
「あ、あれって……」
「……!」
見覚えのあるその姿に目を凝らしていれば、その人は私に気づいたようでこっちに駆け寄ってくる。
「……やっぱりあんたか」
「ガクくん……」
何度か目にしていた彼は、近くで見ると和哉くんと同じくらい整った顔立ちをしていた。
「俺のこと知ってるんだ?」
「あ、うん。和哉くんからよく聞いてたから」
「げっ……あいつ、余計なこと言ってなかったか?」
「あはは、ううん。クレープよりも肉盛のお弁当が好きって聞いた」
「なんでクレープ……ってか、えーと…興野さんだっけ?」
「あ、うん。興野風結です」
「興野さんはなんでここに?」
「あ、えっと……」



