「あ、そうだ。これ」


「あ……」


不意に彼がスポーツバッグから出したのは、
カラになった透明のパック。


「試合が終わったあとに控え室で食べたよ。今まで食べた中で1番美味しかった」


「ほんとっ?よかった!
結構量入ってたと思ったんだけど、全部食べれたの?」


「あ、ううん。1人で食べるつもりだったんだけど、部員が集まってきて半分くらいは食べられちゃったんだ。ごめん」


「あははっ、いいよいいよ!喜んで貰えたみたいで私も嬉しい」


「……あと、これも」


受け取ったパックをカバンに閉まっていれば、彼の手のひらが差し出された。


パステルグリーンの生地につけられたクローバーのアップリケが、視界に映る。


「このお守り、やっぱりご利益あるね。
一つ葉のクローバーの意味を知ったら、最初からなかったみたいに震えがとまったよ」


「そうなの?ならよかった!
あ、そういえば私、そのお守りの最後の意味が思い出せなくて……なんて書いてあった?」


「え…………」


「?和哉くん?」


「あ、うん……えっと、はい……」


「?」


もったいぶらないで言ってくれればいいのに……。


彼の態度を不思議に思いながらも、私は手渡されたお守りを開いてメモを取り出した。


「あ………」