ずっと、思っていた。


陸上から逃げた私を、周りはよく思っていなかったんじゃないか、って。


でも、一番私を許していなかったのは、
私自身だ。


大好きな陸上から逃げた自分を、心のどこかで非難していた。


逃げたことを、心のどこかで悪いことだと思っていた。


私がいけなかったんじゃないだろうか。


本当は私の頑張りが足りなかったんじゃないだろうか。


だって、もっと頑張っていたら、大好きな陸上から逃げることになんてならなかったと思うから。


そんな考えばかりが頭の中をいっぱいにして、このままじゃ自分がどんどんマイナスに進んで行くような気がした。


だから私は、別のことに集中しようと思った。


今まで興味も持っていなかった恋愛をして、陸上より好きな人を作ろうと思ったんだ。


でも今、大好きな陸上を通して出会った、気になっている目の前の彼が、言ってくれた。


『ずっと、頑張ってたんだね』


自分が、認められた気がした。


『風結の頑張りは、俺がわかってるよ』


私はちゃんと、頑張ってたんだ。


逃げちゃったけど、最後まで頑張ってたんだ。