『一緒に頑張ろうっ!』


そう言ってお互いに高め合っていた部活仲間たちは、気づけば私の手の届かないところに行っていた。


『大丈夫だよ!』


タイムが縮まらなくて落ち込んでいた私を励ましてくれた部活仲間たちは、どんどん上を目指して進んでいる。


私だけが。


私だけが、置いていかれる感覚。


あんなに大好きだった陸上が、私の心を締め付けていく。


走ることが大好きだったのに、気づけばそれは私を苦しめていた。


このまま、置いていかれるのか。


来年は、後輩だって入部してくる。


私は後輩にまで、置いていかれるのだろうか。


そんな風に考えている自分が情けない。


いけないのは、1人で焦っていた私。


私のことを思ってくれていた仲間たちを、私はいつしか疎ましく思っていた。


速く走れない自分を棚に上げて、みんなを恨んでいた。


そんな自分が嫌で。


みんなの好意に、心の中で悪態をついている自分が嫌で。


私は、仲間の前から姿を消した。