「ヒロ……うるさいんだけど」


部活終わりの幼なじみを睨んで言えば、大きく「陸上部」と刺繍がされたバッグを下げたヒロは笑顔で近づいてくる。


「聞いてくれっ!俺今日、自己ベストが出たんだ!」


「へぇ、よかったね」


「反応うすっ!?幼なじみの感動に対する返しがそれか!?」


「ヒロって短距離だっけ?凄い早かったよね?」


「そうだよ!全国大会だって出たことあるんだからな」


「……風結ちゃん」


リカに得意げな顔で話すヒロを呆れ顔で眺めていると、向かい側で微笑していたミヨがこっちに体を寄せてきた。