「声……聞いてないな………」


習慣になっていた夜の電話は、あの日から着信音を鳴らしていない。


スマホを眺めながらため息をついていると、
リカが突然に口を開いた。


「そういえば風結、いつもそれ付けてるよね」


リカが指さしたのは、私のカバンにぶら下がっているもの。


「それ、私も思ってたぁ〜。風結ちゃんの大事なものなの?」


「あ、うん。私が中学生の時におばあちゃんが作ってくれたやつで…………、」


「……?風結ちゃん?」


「風結?どうしたの?」


「っ、!」


「「わっ!?」」


口を開けたまま黙った私を不思議そうに見つめる2人に、私は次の瞬間口角を上げて2人の手を取っていた。


「ありがとうっ、2人とも!私、自分にできることがわかったよ!」


「「………」」


私の勢いに驚いて言葉を失っていた2人は、少し経ったあとにクスッと笑みを浮かべる。


「スッキリしたみたいでよかった」


「よくわからないけど、頑張ってぇ〜」


笑顔で言ってくれた2人に、私も笑顔でもう一度お礼を伝えるのだった。