あれから何本かラリーをした後に、今度は男子側が休憩に入った。
舞台に身を預け、水分補給しながら持たれて、チラリと女子コートを見る。
もちろんそれは他の男子も同じことで…
こそこそ、誰がタイプだとか可愛いだとかが聞こえる。
『俺、矢幡さんタイプかも』
『あー、分かるわー!
でも俺は松岡さんかなー』
矢幡…って、案外モテるのか?
でも、矢幡と聞こえた声に、どこか落ち着かない。
当の矢幡は、小さいなりに、一生懸命に松岡とラリーを続けている。
でもミスが大きのは矢幡に見える…
「わー、ごめん!!」
「うぅん、大丈夫!
知愛、落ち着いて!」
そんな声が聞こえる。
『松岡さん、良いフォロー!俺も言われてー!』
『危なっかしい、矢幡さん可愛い!』
隣の男子の声がそろそろ、きつい。
あいつがどう思われてようが、俺には関係ないのに。
『矢幡、可愛いよね?黒田くん』
『は?』
タオルを首にかけて、隣に来た林田。

