体育といっても、南と適当に軽くラリーを続けるだけ。
試合と違って、単純に相手の打ちやすい場所に打てば互いに打ちやすくて何より、楽。
隣の男子は…林田か。
…うっわ。
ふとミスをしたシャトルを取りに行くと、女子が丁度休暇中らしく、女子の目線がみんな林田に集まっている。
ワーキャーうるせーな。
それに笑顔で返す林田がうぜー。
「黒田くん、頑張ってね!」
ふと、目を上げると矢幡がネット越しで目の前に立ってきた。
わっ…
『…お前もな。』
「ありがと!」
ニッコリ笑う矢幡から目を逸らし、南とラリーをしている位置に早足で戻る。
ったく。
なんだよあの笑顔…
なんで俺はこんなにも簡単に心を揺さぶられてんだよ。
あーもう!!
何故か腹ただしい気持ちをシャトルに込めてサーブをすると……ミスった。

