「残念イケメンくんかぁ。
まさか知愛があいつを…」


「なっ、残念は可哀想だよ!」



みんな、黒田くんをそう呼ぶ。


黒田くんは全然、残念なんかじゃないよ!


いつもいつも、つまらなさそうにしている理由があるんだよ。


何も知らないくせに……


私が言えない…か。


自分のことを全然話さない黒田くん。


知っているのは、カレーが好物だって事と、家に帰っても1人だって事。


それ以外…知らないや。



「ごめんごめん!
悪く言うつもりはなかった」


「うぅん。私も言える立場じゃないや」



うん。


私は、黒田くんのことがもっと知りたい。


好きとかそんな言葉とかよくわかんないから、私の気持ちにそんな名前はない。




ー知愛 side endー