凛を俺の部屋まで連れ帰る。
ボスンッ!
「わっ!?」
無言で、俺のベッドの上に凛を落とした。
小さいからだがバウンドしたが無視。
俺も同じく、ベッドに腰を下ろす。
(凛の奴・・・なんだって、烈司達の言いなりになりやがったんだ!?)
聞きたいことは決まってるが、上手く言葉にならない。
ムカつきすぎて、どう聞けばいいかわからない。
「・・・瑞希お兄ちゃん・・・?」
恐る恐る、凛が俺を呼ぶ。
(その音程!!伊織と話す時のテンポじゃねぇーか!?)
そう思ったら、余計イライラした。
今の凛にとって、俺はおびえる存在なのだと言われたようで・・・・気分が悪い。
「・・・・・仲良かったな?」
やっと言えた一言。
「烈司と伊織と・・・伊織と仲良く出来てんだな?」
凛に背を向けた状態で問いかけた。
「そ、そうですか?仲が良く見られたのなら・・・よかったです。」
(よくねぇーよ!!)
返ってきた返事が気に入らない。
「俺の時よりも、良い笑顔だったよな?」
「え!?それはないです!」
「けど、頼りになるよな?烈司も伊織も?」
「え?ええ・・・頼もしいですが・・・」
(なんだよそれ!!!)
やっぱり、凛の返事が気に入らなかった。
「だったら、お兄ちゃんがいなくても平気だな?」
イラついてイラついて、つい、凛に嫌みを言った。
「え!?何言ってるんですか!?必要ですっ!!瑞希お兄ちゃんは、僕にとって空気と水に等しいです!なにをおっしゃるんですか!!?」
ギョッとした顔で凛が抗議する。
損な態度さえ、腹立たしく感じる。
「・・・いいよ、そういうのは。俺がいなくても、あいつらいるだろう?今日みたいに、烈司と伊織にくっつけばいいだろう?俺、いらないだろう?」
「いりますっ!!瑞希お兄ちゃんは絶対必要ですが、烈司さん達も必要です!」
「あん?八方美人かよ?」
食い下がってくる凛に、思わず視線を向ければ――――
「烈司さん達は、瑞希お兄ちゃんを知るためにいります!過去の瑞希お兄ちゃんを知るために!!」
「は?」
「僕がダメって言った場所以外なら触っていいという条件をのめば、若かりし頃の瑞希お兄ちゃんを譲って頂けるのですよ!!?」
『烈司~ちゃんと撮れよー?』
泣きそうな目で、必死に俺に訴えてくる凛の手には、動画再生中のスマホ。
その画面に映るのは・・・
「・・・・・・・俺?」
間違いなく、中坊の時の俺だった。


