「おーい!俺だけどよぉ~・・・」
思い切って、声をかけた時だった。
「わあ~すごーい!!」
聞き慣れた声がした。
(ん?こりゃあ・・・凛か?)
本人の声だと思ったが、ちょっと考えた。
(もし本人なら、俺の声に反応して『瑞希お兄ちゃーん♪』と言うはず・・・・・・)
聞き逃すはずがない。
10秒ほど待ってみたが、俺を呼ぶ声が上がらない。
(人違いだったか??)
首をかしげながら進む。
「おーい、凛~!?来てるの・・・・かっ!?」
様子をうかがいながら凛を呼んで、俺は言葉を失った。
目に映った光景に固まる。
「烈司さん、すごーい!」
「まぁーな!あはははは!」
「獅子島さん、もっとすごーい!」
「フン、当然だ。」
3人用のソファーに凛がいた。
凛+2がいた、と言った方がいい。
満面の笑みの凛の両脇に、烈司と伊織がそれぞれ座っていた。
(こりゃあ、どういうことだ・・・・・!?)
帰宅するとソファーに、凛をはさんで座る烈司と伊織がいる。
ただ座っているだけなら驚かない。
問題なのは、距離だ。
凛は烈司に懐いてきているが、伊織には距離を保っている。
烈司と違って伊織は・・・気さくなキャラでもない。
烈司も烈司で、甘えるのではなく、甘えさせる側の立ち位置にいる。
それなのに、これはなんだ!?
(あの伊織が凛の腰に手を回して、凛の首元に顔をうずめてる!!?烈司が凛の膝に膝枕されてる上に、凛の手をニギニギしてるっ!!?そんな先輩野郎共を凛が一切拒絶してない!?)
ありえない!
(いつもの凛なら、微妙な顔して俺の方へ逃走してくるだろう!?)
それが最高の笑顔で神対応だと!?
烈司のスマホを、最強の笑みで見つめてる!!
伊織へのお触りを許している!!?
(どーなってんだよっ!!!?)
〔★あり得ないことが起きている★〕


