「大した集中力だ。」
呆れ気味につぶやく伊織は、凛たんの頭の上に顎を乗せている。
(まぁ、身長差を考えれば、その姿勢の方が楽だよなー)
「つーか、伊織!俺の腹に、オメーの手があたってる!」
「俺は凛道の腰に手を回しているだけだ。手を回した先に、お前の腹があるのだろう?どけ。」
「はあ~?俺の方が先にくっついてたんだけどー?」
「凛道を抱きこむな。俺の腕まで巻き込むんじゃない。」
「じゃあ、伊織が放せよ~」
からかいながら、俺の体と凛たんの体の間に割り込んできた伊織の手をつつく。
「やめんか。」
舌打ちして、つつく俺の手を押し返すポーカーフェイス。
「いいですねぇ~いいですよぉ~瑞希お兄ちゃんの拗ねた顔~♪」
小競り合いをする俺らの間で、満面の笑みで言う凛たん。
「「・・・。」」
それで俺らも拗ねた顔になる。
「凛た~ん!」
「凛道。」
「はい♪お二人のおかげで、昔の瑞希お兄ちゃんを拝顔できて幸せです!」
名前を呼ぶが、とんちんかんな返事を返される。
「り・ん・た・ん。」
「凛道。」
気を引こうと思って、髪や手やほっぺを触ったり、肩や膝に頭を乗せるが・・・
「瑞希お兄ちゃ~~~ん♪」
画面から一切、視線をそらさない凛たん。
「「・・・。」」
「えへへ~最高ですねぇ~♪」
幸せそうにする凛たんに、俺も伊織も何も言えなかった。
〔★烈司と伊織は、『諦める』を選択した★〕


