つーか、いつまでも凛たんを不安な顔にさせてとくわけにはいかない。
今日の俺は瑞希をギャフンと言わ・・・凛たんを幸せ気分にするのが目的だからよ。
「じゃあ、このやり取りはここまで!気分を切り替えて~はい、凛た~ん♪瑞希の動画、見ような~?再生するぜ~?」
「瑞希お兄ちゃん!!?」
良いお兄さんモードで言えば、凛たんの表情が一変する。
「見せて下さい!見せて下さい!!瑞希お兄ちゃん!!」
「うんうん。今再生してあげるからねぇ~?」
・・・マジで、瑞希への食いつき良いなぁ~
(俺への態度と、差がありすぎじゃねぇーの?)
そう思ったのは、俺だけじゃなかった。
「フン・・・」
目だけでメガネのツレを見れば、呆れた顔でこっちを見ていた。
「はい、凛たん~瑞希だよぉ~」
「わぁ~!!瑞希お兄ちゃんだぁ~♪」
画面の中で動く瑞希に、凛たんは嬉しそうな笑みを浮かべる。
(・・・自分で言ったこととはいえ、なんか凹むなぁー・・・)
それでも大人な対応をするのが、凛たんから見た烈司さんと言うキャラクター。
持っていたスマホを凛たんにて渡せば、両手でしっかり持ってガン見する。
俺から体を離して、ちょこんとソファーに座り直す。
100点満点の笑顔でしゃべる。
「今の僕より若い瑞希お兄ちゃん!昔から素敵ですねぇ~!」
「ソウダネェ。」
ウキウキしながら言う凛たんの姿に・・・可愛さ余って、憎さ・・・とは言わねぇーが、ちょっと面白くねぇな。
「まったく・・・瑞希瑞希とばかり、言いおってからに。」
(それなー!)
伊織の言葉にグッと親指を立てれば、ため息交じりに凛たんにもたれかかる眼鏡。
「瑞希お兄ちゃん、カッコいい~!」
しかし凛たん、過去の瑞希に夢中で、全く伊織を気に留めていない。
〔★無関心すぎた★〕
凛たんが反応しないと判断すると、凛たんにもたれかかった状態で、凛たんの手を取る伊織。
「フン・・・つめの手入れは出来てるのか?」
そう言いながら、ベタベタ凛たんに触る眼鏡。
「じゃあ、俺も~凛たんの毛先はどうなってるかなぁ~?」
遠慮なくとつぶやき、凛たんの髪に触れる。
サラサラしていて、良い香りがする。
耳の上の部分の髪を集めて束ねてみる。
「瑞希お兄ちゃん、凛々しいなぁ~♪」
ここでも凛たん、過去の瑞希に夢中で、全く気に留めていない。
(ホント、凹むわ・・・)
〔★無関心にもほどがある★〕


