「……っ、すごいっ!」
口から飛び出したのは、ありきたりな感嘆の言葉。
でも、心の底からそう思ったんだよ。
「これ、本当に私が貰ってもいいの?」
私なんかには勿体無いよ、と心の中で思いながら口にすると、砂川くんは口元を緩めた。
「桜庭さんのために作ったんだから、受け取ってよ」
「……っ!」
きみの真っ直ぐな言葉は心臓に悪い。
動揺を隠しながら、かろうじて「嬉しい」と呟けば砂川くんは、はにかんだように笑った。
「そんなに喜んでくれるとは思わなかった」
砂川くんってずるいなあ。
私が喜ぶようなことばっかり言ってくれたり、してくれたり。
こうやって私のためにクッキーを焼いてくれたり。
頭の中で想像した、クッキーを作る砂川くんの姿はなんだか可愛くて、きゅんとした。
……そういえば。
「どうして今日が私の誕生日だって……」
砂川くんだって知らないはず。
教えるタイミングもなかったもの。



