砂川くんに言われた通りに手を差し出すと、即座に彼の手のひらが重なる。
どきん、と心臓が跳ね上がった。
「……?」
カサリ、と何かが手にあたる。
この感触は手のひら────じゃなくて、袋?
「いらなかったら捨ててくれていいから」
その言葉とともに砂川くんの手が離れる。
そして、私の手のひらの上に残されたのは。
「手作りとか、苦手だったらごめん」
重ねられた砂川くんの言葉に息を呑んだ。
手のひらに載せられた透明の袋に入っていたのは、アイシングクッキー。
ケーキやお花をモチーフにした可愛らしいクッキーの数々。
『手作りとか、苦手だったら』ということは。
「これ、全部砂川くんが……?」
「……味の保証はできないけど」
私は目を見開いた。
うそ、ほんとうに砂川くんが作ったの?
手作りになんて到底見えない、まるでブローチみたいなクッキーと砂川くんを暫し見比べて。



