悲しむ権利なんてどこにあるんだろう。
誰にも誕生日を教えることをしなかったのは私だし、それ以前に教える相手だっていないし。
それでも────本当は、寂しい。
数日前、榎木さんたちのグループの女の子のひとりの誕生日だった。
朝からいっぱい『おめでとう』と囲まれて、机の上にはプレゼントやお菓子がいっぱいで。
私がその子になれるわけないってわかっていても、羨ましくないわけないじゃんか。
代わりたい、なんて高望みはしないから、羨ましがるくらいは許してほしい。
きゅ、と唇を結びながらそんなことを思っていると、いつのまにかHRは終わっていて。
チャイムの音が耳に入ってきてはっと我に返る。
……今日は金曜日。
はやく図書室に向かわないと。
つきまとう邪念を振り払って腰を上げた。



