学校以外の場所でふたりでいる、という特別な状況でも、良くも悪くもいつも通りだった。

歩き始めてしまえば、会話なんて一切なくて。


私も大概だけど、砂川くんも本当に寡黙なんだなあ……と改めて実感する。




だけど、車が通る道では自然に車道側を歩いてくれたりして。

ふとした優しさが、少しくすぐったかった。




保育園に着くと、砂川くんは葵依ちゃんを迎えに行き、私は門の外でそれを待つことに。




「……おねえちゃん……!」




声が聞こえて、そちらを向けば、保育園の中から小さな女の子─────葵依ちゃんが、こちらに駆けてくる。


砂川くんもその後ろに着いて歩いている。



私の足元まで辿り着いた葵依ちゃんと同じくらいまで視線を下げて。




「久しぶりだね、葵依ちゃん」



声をかければ、葵依ちゃんは嬉しそうに微笑んで大きく頷いた。



かわいい……!

思わず私の頬も緩む。