「さっきから、ずうっと話しかけてたのに、なかなか答えてくれなかったよねえ。そういうの、良くないんじゃないかなあ」
「え……っと」
知らない人。
恰幅のいい中年くらいの男の人────いわゆる“おじさん”。
戸惑って言葉を詰まらせると、彼はそんな私の顔をぐいぐい覗き込んでくる。
声が聞こえるなあとは思っていたものの、ぼんやりしていたためか、それが私に対してだとは気づかなかった。
少し申し訳なく思いながらも何も答えられずにまごついていると、男の人がまた口を開いて。
「カワイイ顔してるね。制服ってことは高校生?」
「セーラー服っていいよね。すっごく俺の好みだし、そそられる」
高校の制服であるセーラー服を舐めるように見下ろされたかと思えば、返事をする暇も与えずに話しかけられる。
「久しぶりに当たりの女の子捕まえちゃった!ね、これから俺とどっか行こうよ」
そんな言葉とともにじろりと見つめられて、肩が微かに震えた。