───桜庭さんにはら情報源が深見先輩だということは秘密にしておこう。




深見先輩はどうやら俺と桜庭さんのことを応援してくれているらしいけれど。

俺の方は、そこまで心は広くないわけで。




ふたりの間に、そういうのが何もないと頭ではわかっていても、親密さを見せつけられるたびに内心面白くないのが事実。




人の感情って、こんなにも厄介だったのかと今更思い知らされた。






「……それに、桜庭さんと過ごすなら図書室かなって思った」




桜庭さんとの時間を、一番過ごしているのはこの図書室の中で、桜庭さんと再会したのもこの図書室。


図書委員にならなければ桜庭さんと出逢うことだってなかったかもしれない。




だから、ここは少しだけ特別な場所だった。





─────それに、ここなら他に誰も来ないだろう、と思ったのもある。



屋上なんかは人気スポットで、そんな人で溢れかえっている場所より、桜庭さんを独り占めできる場所がいいと思った。




恥ずかしいからその本音は口にしないけれど。





「……あのね」