「あの、どうして図書室なの?」



月曜日。

文化祭二日目、閉会式がついさっき終わり、これから後夜祭というところ。




後夜祭では皆、屋上だったりグラウンドだったり、思い思いの自由な場所で過ごす。





文化祭二日目の今日は、一日中榎木たちクラスメイト数人と一緒に模擬店や展示を回ることになっていると言っていた桜庭さんに、


後夜祭は一緒に過ごそう、と約束を取り付けたのも、待ち合わせ場所を図書室に指定したのも全部俺で。




……ずるいな、と少し不貞腐れてみる。




桜庭さんがクラスメイト達と賑やかに過ごしている間にも、俺は桜庭さんのことばっか考えていて。




たぶん好きを比率で表せば、7:3が妥当なところだと思う。

もちろん、7は俺の方。





それでも、昨日桜庭さんが声を震わせながら

『砂川くんが、好き』



真っ直ぐな気持ちを向けてくれたから
それだけで今は十分で。





「ここから花火が、よく見えるって聞いたんだよ」





『───あ、後夜祭の花火なら、図書室なんかが穴場だぞ』




実は、今日すれ違いざまに、悪戯っぽく口角を上げて俺に耳打ちしてきたのは深見先輩だった。


あの表情、絶対面白がってるだろ……と心の中で毒づく。