電話の切れたケータイを置いて、代わりに引き寄せたのはベッドの上にいつも通り座っているダンディー。


きゅ、とそのくまのぬいぐるみを抱きしめた。




「頑張れる、かな」



ぽつりと呟く。
もちろん、ダンディーから返事が返ってくるはずはないけれど。



─────そういえば。

こうやって、ダンディーに話しかけるのは随分久しぶりな気がする。

以前は毎日のように話しかけていたのに。



どうしてだろう、と不思議に思って、ふとひとつのことに思い当たる。




そうだ、砂川くんと出逢って、それから由良ちゃんと仲良くなって、ダンディー以外にも私の話を聞いてくれる大切な人たちが現れたから。



その、おかげだ。





「……頑張らないと」



呟いて、そっと目を伏せた。


由良ちゃんは、自分に自信を持つための方法はオシャレだと言っていた。


じゃあ、私にとってそれはなんなんだろうって考えたとき、私は、素直な気持ちを伝えるのが苦手だから。

それができれば。
誰かに自分の気持ちをちゃんと伝えられたら、それは私にとって大きな自信になる気がしたんだ。





……頑張れるよ。



だって、ほんとうはずっと伝えたかったんだ。誰よりも愛しいきみに、ありったけの気持ちを。




想いを伝えたその先は、私には、まだわからない。


だけど、もうきっと後悔することはないと、そう思った。