もう抵抗しても無駄だと思った。
溢れる想いが、とまらない。
抑えたって堪えたって、もう我慢なんかできっこない。
「す、」
湧き上がる思いのままに、『好き』だと言葉にしてしまおうと口を開いた、そのとき。
「砂川!おまえに用あるって、女の子来てるぞ」
入口の方から先輩が砂川くんを呼ぶ声がした。
見れば、扉の向こうからボブヘアーの可愛らしい小柄な女の子が顔を覗かせている。
「あ……今行きます」
とん、とお姫様抱っこ状態だった私を下ろして、砂川くんが図書室の出口の方へ向かっていく。
殆ど熱に浮かされたような状態だった頭がようやく冷静になってきて、今度は恥ずかしさで沸騰しそうだった。
『す、』
こんな図書室のど真ん中で、私ってば何を大胆に言おうとしていたんだろう。
ぱたぱた、と手で熱くなった頬を仰いでいると、砂川くんが出ていった扉を見ながら先輩が何気なく発した声が耳に入ってきた。
「うわー、今の絶対告白だよな」
「あんな可愛い子がねえ。砂川もやるなあ」
告白……っ?
あの子が、砂川くんに?



