はやく返してしまいたいのに。 だって、このハンカチを見るたびにあの人のことを思い出してしまう。 その度に、胸がきゅうってして なんだかおかしな気持ちになるんだから。 ───あの人は、いったい何処でなにをしているんだろう。 どんな毎日を過ごしているんだろう。 考えても埒が明かないことをぼんやりと考えているうちに、時計の針は60度進んでいて。 「もう行かなきゃ」 ガタン、と音を立てて席を立つ。 それ以外の音がしない教室は、ひどく虚しかった。