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翌朝。
いつもの数倍早起きして、生徒はまだ誰も来ていない早朝の校舎の中。
昨日、自分の作業のノルマも果たさないまま帰ってしまったから、さすがに申し訳ないと思って朝早く来て終わらせようということだ。
清々しいまでに爽やかな秋の朝の空気を吸い込みながら、昨日作業していた空き教室に向かう。
職員室で借りてきた鍵を差し込んで、かちゃりと扉を開いて中に入ると。
「え……」
目に飛び込んできたのは、昨日帰ったときのままの作業場。
ニスの缶やハケもそのままで。
でも─────。
私が昨日塗り途中のものを、そのまま放置して帰ってしまったはずなのに、私が担当していた看板は綺麗に塗装が完成していて。
考えるまでもなくその答えは明らか。
砂川くんが、私の分までしてくれたんだ。
ああもう、砂川くんはほんとにずるい。
この期に及んで、やっぱり優しいから。
諦めなきゃ、と思っていてもどんどん好きになってしまう。
「……ちゃんと、お礼言わなきゃ」
でも、直接言いに行く勇気は出なかった。
だから、メモ帳に『ありがとう』 と一言だけ書いて、その場に置きっぱなしだった砂川くんのペンケースの上に置いて。
ありがとう、と小さく呟いて空き教室を後にした。
◇
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翌朝。
いつもの数倍早起きして、生徒はまだ誰も来ていない早朝の校舎の中。
昨日、自分の作業のノルマも果たさないまま帰ってしまったから、さすがに申し訳ないと思って朝早く来て終わらせようということだ。
清々しいまでに爽やかな秋の朝の空気を吸い込みながら、昨日作業していた空き教室に向かう。
職員室で借りてきた鍵を差し込んで、かちゃりと扉を開いて中に入ると。
「え……」
目に飛び込んできたのは、昨日帰ったときのままの作業場。
ニスの缶やハケもそのままで。
でも─────。
私が昨日塗り途中のものを、そのまま放置して帰ってしまったはずなのに、私が担当していた看板は綺麗に塗装が完成していて。
考えるまでもなくその答えは明らか。
砂川くんが、私の分までしてくれたんだ。
ああもう、砂川くんはほんとにずるい。
この期に及んで、やっぱり優しいから。
諦めなきゃ、と思っていてもどんどん好きになってしまう。
「……ちゃんと、お礼言わなきゃ」
でも、直接言いに行く勇気は出なかった。
だから、メモ帳に『ありがとう』 と一言だけ書いて、その場に置きっぱなしだった砂川くんのペンケースの上に置いて。
ありがとう、と小さく呟いて空き教室を後にした。
◇