「……そういえば」



由良ちゃんが、ふと思い出したように首を傾げた。



「ひよって砂川と付き合ってるの?」

「……ぅえっ!?」



驚きのあまり変な声が出てしまった。



「っな、なんで? 付き合ってなんかないよっ」



慌ててぶんぶんと首を横に振ると。



「ふーん。でも、ひよは好きなんだ?」

「え……!」



まるで納得したように言うから、驚いて声をあげると由良ちゃんは鼻で笑った。



「なんでって顔に書いてあるけど、ひよがわかりやすすぎるだけよ」


「ええ……」




そんなに、わかりやすいかな。
そんなことないと思うんだけどな。



「まあでも、てっきり付き合ってるのかと思ってたな。前、休日にふたりでいるとこ見たことあるし」



それは、夏休み前にふたりで買い出しに行ったときのことだろうか。

……付き合ってる、かあ。



本当にそうなら、よかったのにな。


わかりやすくしょぼん、と肩を落とした私に気づいて、由良ちゃんが質問を重ねる。




「何かあったわけ?」



本当に心配そうに聞いてくれるから、思わず砂川くんに避けられているんだという今の状況を説明した。


良いことも悪いことも、あけすけに言ってくれる由良ちゃんなら良いアドバイスがもらえるかな……なんてちょっぴり期待してみたけれど。




「……情報が少なすぎて何とも言えないわ」





と、彼女も首を振るばかりだった。