恭ちゃんの言葉に頷いて、それから数日が過ぎた。

けれど結局のところ、何も出来ないまま何も進展していない。




もう、砂川くんに愛想尽かされちゃったのかな。嫌われてしまったんだろうか。


それほどのなにか酷いことをしてしまったのかもしれない。心当たりは、まだ、見つからないけれど。



砂川くんと話すことも、目が合うことさえもなくなって、ようやく気づいたことがあるの。




『“砂川駿”のことをちゃんと見てくれる人なんていなかった』


『優しくない全然話さない俺でも好きだって言ってくれる人が現れないかなって』



いつだったか、砂川くんはそんなことを言っていた。




優しいところ。

いつも助けてくれるところ。

目を見て最後まで話を聞いてくれるところ。



砂川くんのいいところなんて星の数ほどあって、どれも砂川くんを好きになるには十分すぎる理由になるけれど。



私は、そんな言葉にできるような理由で砂川くんを好きになったんじゃなかったんだってことにやっと気づいたの。




“砂川くんだから”




最初に出逢った日、助けてくれたのが砂川くんだったから。一緒に図書委員になったのが砂川くんだったから。

いつもそばにいてくれたのが砂川くんだったから─────