素直になれない、金曜日


名残惜しさを少し感じながらも頷いて、駅までの道をふたり並んで歩く。



「いっぱい買い物できたね」

「うん」



砂川くんが両脇に抱えている袋。
それを見ていると、今日一日の出来事が走馬灯のように蘇ってくる。



「文化祭、楽しみだね」

「……うん」




あれ、やっぱり。

砂川くんの相槌が、いつもより素っ気ない?


頷いたり、『うん』としか言わない砂川くんに、少し寂しさをおぼえていると。




「あのさ、」




暫くして、ずっと静かだった砂川くんが急に口を開いた。

ぱっ、と砂川くんの方を振り向くと。




「……連絡先、交換しねえ?」




予想もしていなかった提案に、戸惑いを隠せずにいると。



「今更だけど、なにかと便利かなって。委員会のこととか、こうやってまた二人でどっか行くことがあるかもしれない、し」



言いつつ、砂川くんが少し視線を私から逸らす。



「……っていうのは口実で。ただ、俺が桜庭さんと連絡とる手段が欲しいってだけの理由」




照れくさそうに、砂川くんが外した視線を元に戻した。


またそうやって心臓に悪いことを言う。
慣れてきた、なんて気のせいだった。



砂川くんの傍にいると、どきどきさせられてばかりだよ。
砂川くんは知らないだろうけれど。