名残惜しさを少し感じながらも頷いて、駅までの道をふたり並んで歩く。
「いっぱい買い物できたね」
「うん」
砂川くんが両脇に抱えている袋。
それを見ていると、今日一日の出来事が走馬灯のように蘇ってくる。
「文化祭、楽しみだね」
「……うん」
あれ、やっぱり。
砂川くんの相槌が、いつもより素っ気ない?
頷いたり、『うん』としか言わない砂川くんに、少し寂しさをおぼえていると。
「あのさ、」
暫くして、ずっと静かだった砂川くんが急に口を開いた。
ぱっ、と砂川くんの方を振り向くと。
「……連絡先、交換しねえ?」
予想もしていなかった提案に、戸惑いを隠せずにいると。
「今更だけど、なにかと便利かなって。委員会のこととか、こうやってまた二人でどっか行くことがあるかもしれない、し」
言いつつ、砂川くんが少し視線を私から逸らす。
「……っていうのは口実で。ただ、俺が桜庭さんと連絡とる手段が欲しいってだけの理由」
照れくさそうに、砂川くんが外した視線を元に戻した。
またそうやって心臓に悪いことを言う。
慣れてきた、なんて気のせいだった。
砂川くんの傍にいると、どきどきさせられてばかりだよ。
砂川くんは知らないだろうけれど。



