「でも、これ葵依は怖がる気がする」
「そうかな……、私の部屋には同じくまのこれくらいの大きさのぬいぐるみがあるんだよ」
そう、このくまのデザインは私の部屋にいるダンディーと全く同じ。
たしかに小春もダンディーのことを怖がっていたなあ、なんて思いながら。
両腕を広げてその大きさを示しながら砂川くんを見上げると、ぱちり、と目が合った。
途端に心臓が跳ねて、鼓動がうるさくなる。
そして、砂川くんとの距離の近さに動揺した。こんなに近かったっけ。
どぎまぎしながらも、砂川くんから目を逸らすことはできなかった。
思えば、こうやって本当にとりとめもない話をして、笑いあったのは初めてに等しい。
今まで砂川くんと話すのは、ほとんどが委員会が関係しているときだったから。
今、思ったよりもずっと自然体でいられている自分がいて、この時間が心から楽しくて。
まるで、デート、みたい。
……なんて、勘違いをしそうになる。
でももし、これが砂川くんの彼女なら、こんな一日があたりまえになるんだろうか。
見上げたすぐそこに彼が居て、目が合って、何気ないことで笑い合って、そんな休日が。



