「ありがとう」
シンプルに感謝の気持ちを伝えると、どういたしまして、と返ってきた。
「次は向こうのお店に入る?」
予算はまだ十分に残っているし、せっかく電車に乗ってまで来たのだから、今日は端から端まで見て帰るつもりだ。
砂川くんが頷いたのを確認して、今いる店から出た。
そして、次に向かうお店へと足を進めていると────
「あははっ、ほんと由良ってば最高なんだけど!」
「いやー、ほんとにうちらって気が合うよね〜っ」
すぐ近くで聞き覚えのある声がした。
きゃはは、と明るい声で楽しそうに笑うその声の持ち主は。
「……っ」
ちら、と横目を向けると、やっぱり彼女たちだった。
榎木さんたち数人の女の子のグループ。
学年でも一際華やかな顔ぶれ。
思わず足が竦んで、ぴたりとその場に縫い止められたように動かなくなった。
このまま此処にいれば、すぐにでも榎木さんたちに見つかってしまうだろう。
私は上手く隠れられるかもしれないけれど、圧倒的な存在感がある砂川くんに、それは無理な話で。
そうすれば、横にいる私に気づいて、それで。



