砂川くんが、訳がわからない、といった様子で首を傾げた。
「私ばっかり、いい思いしてる気がする」
本当なら、私は今ひとりきりのはずで。
家の方向だって違う砂川くんに、恭ちゃんがいないから、女の子だからって理由で送ってもらって。
「迷惑かけたくないのに」
嬉しかった、本当は。
すっと手を挙げて名乗り出てくれたとき、本当に嬉しくて。
だけど。
「私なんかひとりでいいのにってどこかで思ってるの、いつも」
誰かに気にかけてもらえるほど、私が価値のある人間だなんて思えない。
「優しくしてもらうたびに、勘違いしそうになる。みんな情けをかけてくれてるんだって冷静に考えたらわかるのに」
冷静に考えて、それでいつも思うの。
迷惑なんじゃないかって。
「……砂川くんも私なんか、放ってくれていいんだよ」
俯いて、ぽつりと呟いた。
情けなくて切なくてどうしようもない気持ちに落ちていきそうになったとき。
「あのさ、勘違いとかじゃないから。それ」
「へ……?」
ぱっと顔を上げれば、少し怒ったような表情の砂川くんと目が合った。
「桜庭さんは、自分に自信なさすぎ」
「え……」



