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恭ちゃんが帰って、それから少しして。
部屋のなか、ひとりきり。
ベッドの上の灰色の塊────くまのぬいぐるみに手を伸ばした。
そのままぎゅっと胸の前に抱きしめて、顔をその背中にうずめる。
「……ねえダンディー」
名前をそっと呼んだけれど、その後何を言おうと思ったのかわからなくなった。
ううん、元からそんなのなかったのかも。
ただ、誰かに縋りたかっただけ。
『ほんとうに少しでも思わねえの? もっと、アイツのこと知りたい、とか近づきたい、とか好かれたい────とか』
少しも思わなかったわけじゃない。
好きでいるだけで十分、なんてそんな綺麗事だけではこの想いは成り立たない。
砂川くんのことを、もっと知りたい。
もっと近くで同じ時間を過ごして、あわよくば。
だけど、いくら想像してもだめなんだ。
砂川くんの隣に私の姿を描くことができない。きみの隣にはもっと素敵な女の子が並ぶべきで。
「……私じゃ、だめなんだよ」
ぽつり、零れた声は
思っていたよりもずっと弱々しかった。
◇
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恭ちゃんが帰って、それから少しして。
部屋のなか、ひとりきり。
ベッドの上の灰色の塊────くまのぬいぐるみに手を伸ばした。
そのままぎゅっと胸の前に抱きしめて、顔をその背中にうずめる。
「……ねえダンディー」
名前をそっと呼んだけれど、その後何を言おうと思ったのかわからなくなった。
ううん、元からそんなのなかったのかも。
ただ、誰かに縋りたかっただけ。
『ほんとうに少しでも思わねえの? もっと、アイツのこと知りたい、とか近づきたい、とか好かれたい────とか』
少しも思わなかったわけじゃない。
好きでいるだけで十分、なんてそんな綺麗事だけではこの想いは成り立たない。
砂川くんのことを、もっと知りたい。
もっと近くで同じ時間を過ごして、あわよくば。
だけど、いくら想像してもだめなんだ。
砂川くんの隣に私の姿を描くことができない。きみの隣にはもっと素敵な女の子が並ぶべきで。
「……私じゃ、だめなんだよ」
ぽつり、零れた声は
思っていたよりもずっと弱々しかった。
◇