その足音は、保育園へと向かう私を追いかけるように着いてくる。



……あれ、もしかして道が同じなのかな?




右に曲がれば足音も右に曲がり、
左に曲がれば同じように足音も左に曲がる。





分かれ道は途中に何度もあったのに、相変わらず私の後を追う足音にだんだん怖くなってきた。



────もしかして、後をつけられている?

まさか、そんなはずはないよね。





助けてくれた人をストーカー呼ばわりするなんて失礼だとは思うけれど、さっきの出来事も相まってただでさえ今の私は警戒心が強いんだもの。




怯える気持ちをなだめながら、後ろは振り向かないまま歩く速度を少し早めて保育園へ向かった。





恐怖心から心臓がばくばくと音を立てる。


足が絡まりそうになりながらも必死で歩を進めて。






─────もう大丈夫、この角を曲がれば。



最後の曲がり角を右折して、半ば小走りに保育園の門へと向かう。





「あっ、ねーたん!!」





すると、聞き慣れた可愛い声が耳に届いた。




ふと顔を上げると、保育園の門の前で小春が手を振っている。


どうやら私の姿を目ざとく見つけたみたい。




小春の反対の手は保育士さんにしっかりと握られていて、そんな彼女の隣には大人しそうな女の子も並んで一緒に立っていた。



きっと小春と同じでお迎えを待っているのだろう。