「恭ちゃんって昔から私の髪の毛いじるの好きだよね、どうして?」
突然の質問に一瞬きょとん、とした恭ちゃん。だけどすぐに緩く口角をあげて。
「んー、ひよりの髪の毛って細くて柔らかいじゃん? なんか、触り心地がいい」
柔らかい、のかなあ。
自分じゃよくわからないけど……。
んんん、と考え込む私の髪の毛を散々いじり倒した恭ちゃん。
少しして、それに飽きたのか。
「ちょっ、恭ちゃんなにするの!?」
わしゃわしゃ、と恭ちゃんが私の頭を掻き回してきた。撫でる、なんて生易しいものじゃなくて。
ハーフアップに纏めていた髪の毛もおかげでもうぐっしゃぐしゃ。
「もうっ。 私昔みたいにちっちゃくないんだからね? 恭ちゃんの妹なんかじゃないんだから……!」
口を尖らせてそう抗議すれば。
「ひよりは妹っていうか、ペットだよなー。いい毛並み」
髪の毛を乱す手は一切止めないまま、恭ちゃんはふ、と笑う。
ご満悦の恭ちゃんに、私は抵抗を諦めてされるがままに頭を撫でられ続けていたけれど。



