私、木下いちか。

幼稚園のさくら組に通う5歳児。

思えばこの時から私の家族はバラバラになっていたと思う。


「いちか~?今日からいちかは、ママとパパといちかの3人で暮らすんだからね。」

結婚当初から私の母は
父の母(ばぁちゃん)とそりが合わなかったんだと思う。

私を17歳で生んだ母は
高校中退し、できちゃった婚らしい。

「わかってるー!」



「今日はいい天気だな~
もぅ準備は出来たか いちか?」

じぃちゃん愛車の軽トラックに
タンスをのせ終わった父が
家に戻ってきた。

「うん。ねぇ、なんで
ばあちゃん家で住まないの?」

「いちか、言ったでしょ。
ママは3人で暮らしたいの、
いちかは、おばあちゃんとママどっちと暮らしたいの?」

「いちか、ごめんなぁ。
ばあちゃん家は引っ越しても家からも近い。
だから、いつでも遊びに来れるよ。」

「そっかー!じゃぁ、いちかはママとパパと3人で住むー」