父に久しぶりにあった。


合わせたい人がいるんだ。


そう言って、その人が待つ家に車を走らせた。


「いちか、いちかにお兄ちゃんができるよ。
いちかの1つ上のクラスになる、ユウくん。
そして、新しいお母さんになる人だょ?」


突然だった。


知らない家で、
話した事もない人が
突然、私の新しい母になるのだという。

「この家でいちかも暮らそう?」

頭が真っ白になった。


いつも父は仕事で家に
帰ってきてるのかどうかも分からない。

私の授業参観、来てくれた事ある?
学校の運動会最後まで見てくれた事あった?
私がどんな思いで学校通ってるか知ってる?


いつも家にいない父。
どうせまた、
知らない土地で
知らない人達の中に私を捨てるんだ。


私は言った、

「私のママは1人だけだから。私は今までどおりママに会える距離でいたい
ばあちゃんの家で暮らしたい」



その後、

どんな話をしたのか知らない。

だけど、ばあちゃんが言ってた

いちかの母になるのは難しいって
向こうの人とは別れたんだって。

実は子供が出来てて、

だけど、おろしたって。

ばあちゃんの本当か嘘なのか分からない話を聞かされた。


父はきっと私をお荷物だと思ってたと思う。

私が応援してあげなかったから。
私が喜んであげなかったから。
私が賛成してたらまた違った人生だったのかもしれない。