久しぶりにギターを背負い、元通学路を歩いた。
校門をくぐり、体育館に向かう。


「二人が来たぞ。後は鈴城か……あいつ遅刻の常習犯だからな……」


照先は僕たちを見た後、腕時計に目を移す。
ステージに向かって歩くと、メレンダが気付いて手を振ってくれた。


メレンダも準備を手伝ってくれている。
あれからメレンダは手伝いをしてくれるようになった。宣伝アカウントの運営やスケジュールの設定も、永田と協力して行っている。


「おはよう」


「おはよう。鈴城君まだ来てないよね?準備とかどうするつもりなの……?」


メレンダが不安そうに眉を寄せる。


「俺の予感ではもうすぐ来る」


蔵王さんの予感はよく当たるとはいえ不安だ。
ステージに上がり、僕たちも準備に取りかかる。ずらっと並ぶ椅子を見下ろすと、懐かしくなった。


「顔はよくわからなくても、楽しんでくれてるのがわかるんだよね」


「そうだな」


誰もいない客席に、文化祭の様子を重ねる。
楽しみだな。僕が思わず笑みを浮かべていると、鈴城が悪びれる様子もなく入ってきた。