「あいつらは知り合いか!?」


「はい、一応……。一階に協力者がいるらしいので、そこでやり過ごそうとするんじゃないでしょうか」


「わかった、ありがとう」


蔵王は二人のために嘘のついた。
一人は外を探し、もう一人は一階を探す。


一人になれば挟み撃ちにされることはないだろう……。



一方二人は……。


「もうすぐ出られる!」


追っ手との距離も十分だ。
後は近くの駐車場から車でも出てきてくればいいんだが……。


そう思った時、校門前に先生が集結しているのが見えた。
嘘だろ……?


どの方向に逃げようか迷った。
運動場に逃げて……それは部活の邪魔か。しかし正面突破は難しい……。


「三人までなら蹴散らせるのに……」


メレンダがそう呟いた。
なら正面突破か!?


「うっ」


「確保!」


いつの間にか囲まれていた。腕を掴まれ、連行される。
疲れて座り込んだメレンダも、腕を掴み上げられ伸びていた。


「先生、その子たち僕に用事があるんです」


囲んでいた野次馬が道をあける。そこから永田たちが現れた。


「しかし、許可もなく校内に入るのは……」


「許可しなければ僕たちは文化祭に出ません!」


先生は永田に指をさされ驚いた。そうして先生の力が弱まったところを引っ張った。


「おい、勝手なこと言うなよ!」


「照先、永田が適当なこと言うのはいつものことだぞ」


守築は後ろで手を組んで笑っている。
横を見ると、鈴城がメレンダを救出していた。先を越されたか……。


「さあ、部活始めるよ。走れー!」


永田が拳を突き上げ、走り出した。
唖然とする先生たちを置いて、全速力で走る。