メレンダが気になって仕方が無い。
ちょっと助けようとか、見守ろうと思っただけだったのに、何の心配もない授業の時も見てしまう。


後ろの方の席だから、油断して落書きしている。
顔を上げて黒板を見ると、慌てて落書きを消し、ノートに写す。
よかった。ちゃんと写さないとお菓子を食べる時間が減るからね。


僕も前を向かないと。よそ見していて先生に当てられたら恥ずかしい。


授業が終わると教科書を片付ける。メレンダを見ると、机の上の物を片付けずお菓子を食べていた。グミのパウダーがぽろぽろ落ちている。


メレンダのノートを見て、先生は不思議に思うのだろうか。
案外、綴じ目にパウダーや消しカスがたまっていても、気にしないのかもしれない。


そのままにしておくとは限らないか。
提出する前に、机の上でトントンと落とすかもしれない。


メレンダのことはあまり知らない。だから想像が膨らんでいく。


メレンダは僕の方をちらっと見た。しかし、気にせずお菓子を食べ続けた。
流石に気付かれたか。


ずっと見てたら怪しまれると思い、スマホを触る。
これを使うのも久しぶりな気がしてきた。離れていたのは一時間程なのに。


授業が終わると、メレンダはお菓子をレジ袋の中に入れる。そして、教科書を取り出した後、前の授業の教科書を戻した。


メレンダは他の人よりゆっくり動くが、これは素早く、スムーズだった。ギリギリまでお菓子を食べるための技だ。