下駄箱ですのこをがたがた踏み鳴らし、靴も履き替えずに外に出た。


風を突っ切り、校舎の周りを走る。
もしも見られたくないようなことをしたなら、人気のないところに行けば……。


影が出来ている場所に来た。そこで速度を落とす。


「メレンダ!」


「フィウメ?」


メレンダはボサボサで顔にかかった髪をのける。冷たくてざらざらした地面に座り込んでいた。


どう声をかければいいのかわからず立ち尽くした。


「ちょっと他の子と話してたの。風が強いからボサボサになるわー」


ぎこちない笑みを浮かべながら手ぐしをとく。


「次体育だから着替えないと……」


メレンダはうつむいて僕の横を通り過ぎていく。
何があったか聞きたい。しかし、それが逆効果になることもある。


何かしなければいけない。しかし、何かを思い付いたとしても行動には移せないだろう。
僕は弱いな。こんなんだから大切な存在を失うんだ。