蔵王さんは一歳上で、近所に住んでいる人だ。
四年生のとき引っ越してきた僕に優しくしてくれた。兄弟みたいだ、と言われるほど仲が良かった。


「蔵王さん、ギター弾けるんですか?」


「うん、まだまだ下手っぴだけどな」


部屋にあった、かっこいいギターに憧れた。
良い成績を維持し、お手伝いを頑張った結果、中学の入学記念に買ってもらったのだ。


蔵王さんに報告すると、よかったなと言ってくれた。
それから蔵王さんに教わり、ある程度弾けるようになった。


永田とは二学期に仲良くなった。
音楽で好きな歌を発表するとき、同じ歌を選んだことがきっかけだ。


永田は友達だった照先、鈴城、守築を集め、軽音楽部を作ろうとしていた。
そこに僕と蔵王さんが加わり、軽音楽部ができた。


「緋梅はまだ出ないのか?」


「うん」


永田たちはさっそく文化祭のステージ発表に出ることになった。
しかし僕は、ステージに出るレベルには達していなかった。


文化祭から、Geometric unionは始まった。