春、桜がひらひら舞う。
「あいつ、元気にしてんのかな…」
ふと隠していた本音が漏れる。
「ちょっと!山崎先生!ちゃんと子供たち寝かしつけてくださいよ!!!」
「あ、園長先生、わかりました!」
私、山崎 華(ヤマザキ ハナ) 。
20歳の保育の卵。
「ハナちゃん先生〜おしっこ」
「あ、勇太くん、じゃあ行こっか。」
毎日こんな感じで時間と子供たちの相手に追われている。
子供がすごい好きでこの仕事を選んだものの上手くいかない毎日。
「ハナちゃん先生は、しゅきな男の子いるの?」
「なによ、急に〜。どうかな~」
「いるの??」
「先生はね、忘れられない人がいるんだ〜」
「それはだぁれ?」
「高校生のときに大好きだった人…」
また蘇る、あの記憶。あの時間。
始まりは高校1年の春だった────────