先生と双子と幼馴染と。

信号が青に変わり、窓の外の景色が流れ始める。


「侑斗さん」

「ん?」

「…本気、ですか?」

「うん。嘘に見えた?」


今度は首を横に振った。


「ごめんなさい。驚きすぎて…」

「ううん。奏美ちゃんの反応は間違ってないよ」

「あの、確認ですけど、恋愛的な意味ですか?」

「そう、恋愛的な意味」


初めて、告白された。


「えっと、」

「奏美ちゃんの返事はわかっているよ」

「そう、ですか」

「うん。いきなり告白してごめんね」

「侑斗さんが謝る必要なんてないです」

「……奏美ちゃんはやさしいね」


侑斗さんの表情はどこか切ない。

こんな表情にさせてしまったのは、私だ。


「初めて誰かに好きって言ってもらえて、不思議な気持ちで……でも、嫌とかそういうものではなくて……素直に、嬉しいです。想いを伝えてくれてありがとうございます」

「奏美ちゃんらしい返事で安心した。正直、すごく怖かったんだ。嫌われたらどうしようって。でも今は、奏美ちゃんに告白してよかったって思うよ」


やっぱり侑斗さんは大人だ。

私たちとはしゃいで楽しんでいても、大人なんだ。


「奏美ちゃん。今日は誘ってくれてありがとう」

「こちらこそ、ありがとうございました」


告白する側もされる側も苦しくなるなら、はじめからその気持ちに気づかないほうがずっといい。

こんなことを言う権利なんて、私にはないのに。

でもきっと、誰かを好きになるって素敵なことで、楽しいことなんだと思う。


窓から差し込むオレンジの光が眩しくて、私はぎゅっと目を瞑った。