「そうなんだ。てっきり、堀江さんか暮沢の親戚かと思ってた。それで、オレにどうしろと?」


理解、してくれたってことでいいのかな?
水野くんがわかってくれる人でよかった。


「このことは黙っていて欲しいの。周りに知られたら大変なことになると思うし…」

「堀江さん、オレがみんなに言いふらすとでも思ってる? 知られたくないからここで話してくれたんでしょ?」


顔を上げると、いつもの無愛想な水野くんじゃなくて、優しく微笑む水野くんがいた。


「なに?」

「いや、水野くんも笑うんだなぁって」

「それ、どういう意味かな?」


目だけ笑ってない……
“悪魔の和希くん”と同じ表情だ。


「な、なんでもない。私、そろそろ帰るね。時間とらせちゃってごめん。ごちそうさまでした」

「うん。また明日」

「あ! 大事なこと忘れてた! 電車で行く予定だったんだけど、先生が車出してくれることになったから。それだけ!」

「それ、忘れちゃダメなやつ…」

「あはは、ごめんね」


私がわざとらしく笑うと、水野くんは呆れたようにため息をついた。