「……やっぱり、なんでもない」

「陽菜?」

「ごめん、忘れて」

「……うん」


怖くてそれ以上は聞けなかった。


「カナ! アイス溶けてるよ!」

「あっ! 陽菜、拭くものちょうだい!」

「早く食べないからだよ」

「私のせいじゃない。この暑さが原因だから!」


陽菜は隣で楽しそうに笑っていた。

……いつも通りだ。
よかった。戻ったみたい。


言われた通りに、さっきの陽菜の表情と言葉は忘れよう……