「奏美ちゃん、柚希。おかえり」

「ただいま〜」

「ただいまです。侑斗さん、疲れはとれましたか?」

「おかげさまで。奏美ちゃん、もしかして…和希に選んでもらったの?」

「え? あ、はい…」

「可愛いね」

「あ、ありがとうございます」


柚希くんと侑斗さんの反応を見る限り、完全に和希くんの好みに染められてしまったってことか。

『オレ好みの君になってよ』

あれは、本気だったってこと?

和希くん好みの私って……



「奏美ちゃん?」

「な、なんですか?」

「ぼーっとしてどうしたの? ご飯冷めちゃうよ?」

「すみません…」

「カナちゃん。さっきから変だよ? かずくんになんか言われたの?」

「別に何も…」


和希くんは用事があるらしく、今は家にいない。

2人に話してしまおうか迷ったけど、秘密ねって言われちゃったから…約束は守らないと。


「何かあったらすぐに言ってね? ボクはカナちゃんの味方だから。たとえ かずくんが相手でも、カナちゃんのために頑張るよ」

「……ありがとう」

「僕だって奏美ちゃんの力になるよ! 唯一の大人だからね」

「はい。ありがとうございます」


そう言ってもらえて嬉しいけど、2人とも要注意人物リストに載っているんですよ。
つまり、警戒していないわけではないんです。

でも、2人の言葉に少しだけ気持ちが軽くなったような気がした。