「そんなに睨まないでよ。怖いから」

「なんで笑ってんだよ」

「きみも案外鈍感なんだなぁって思って。恋すると周りが見えなくなるタイプ? そういうの、嫌いじゃないよ」


本人たちは気づいていないのに、関係ないオレにはわかってしまうなんて変な話だけど、勝手にゲーム感覚で楽しんでいるだけだから。
別に迷惑をかけているわけじゃないし、問題ない。


「いつまで笑ってんだよ!」

「ごめんね」


幼馴染くんの怒りがそろそろ爆発しそうだなぁと思ったその時、オレのスマホの着信音が鳴った。


「…どうした?」

『かずくん、今からこっちに来れる?』

「なんで?」

『可愛いカナちゃんを見てもらいたいから!』

「オレが行く意味ある?」

『実際に見ればわかる! すっごく可愛いもん!』

「ふーん。じゃあ、幼馴染くんも連れて行くけどいい?」

『え、それは…』

「今、目の前にいるけど」

『……わ、わかったよ! 連れてきていいよ!』


幼馴染くんを嫌いになる理由ってある?

ゆずがこんなにも人を嫌うなんて珍しい。


「今から3人のところに行くことになったけど、幼馴染くんも来るよね?」

「え…」

「ゆずから、幼馴染くんも来ていいって許しが出たよ」

「あ、うん。じゃあ、行く」

「10分後にまた家に来て」

「わかった」


せっかくの休日が……

まあ、なんだかんだ言って楽しんでるんだけどね。